会長挨拶

静電気学会会長 山野芳昭(千葉大学名誉教授)

静電気学会は1976年の設立以来、昨年で40周年を迎えることができました。その間の会員及び賛助会員の皆様のご支援に深く感謝いたします。一昨年、静電気学会は一般社団法人となり、次の10年の活動に向かって新たなスタートを切りました。最近では、学会に限らず、産業界も,研究・教育機関も,グローバルな視点から自らの改革が求められております。静電気学会も、一般社団法人としての活動を基盤に、会員や賛助会員へのサービスの充実を図りながら、社会的な役割と存在意義を高めていくことに努めたいと考えております。

静電気学会の社会的役割は、「静電気に関連した自然現象の解明とその応用に関する研究や教育・啓蒙活動を通して、産業界や教育界へ貢献していく」ことにあります。「静電気は古くて新しい学問」というフレーズでも明らかなように、おそらく人間が有史以来、現在に至るまで、そして未来も、静電気現象に関する解明とその応用技術に関連する研究と技術開発は止まることはありません。ハイテクや先端技術と言われるその先に、静電気現象が潜んでいることを予感させられることがしばしばあります。研究対象が微細な物質になればなるほど、物体自身が持つ電荷が他の物質に及ぼす影響が顕著に現れますし、お互いの電荷の影響による相互作用も大きなものになってきます。2つの電荷の距離がナノレベルになれば、クーロン力はとてつもなく大きな力となってきます。分子レベルで生じる化学反応も、分子原子間に働く静電気力に律速した作用に強く依存してきます。弱電離プラズマの生成とその応用技術をはじめとして、こうした微細な物質の運動の制御や環境の保全・改善を目的とした技術開発では、静電気を主軸とした工学が大きな役割を果たすことになります。

一方、電荷の発生・帯電・放電(中和)という一連のプロセスを適切に制御して、静電気放電に起因した障害や災害を防止することは静電気学会の重要な責務でもあります。そのために現象を忠実に評価するための計測技術の開発は静電気学会にとってきわめて重要な柱です。また、物質(生体も含む)内で形成されている電気二重層の役割やそこに侵入する異物や電荷との関わりの解明は、物質・生体静電気とその応用工学の創成につながり、我々が主体的に貢献できる分野です。

これらを持続的に継続するために学会にとって一番大事なものは、人的資源とそのアクティビティーの高さにあります。人的資源の育成をグローバルな枠組みで取り組んでいくことを持続して進めるべきです。学会は同じ分野の研究者・技術者の横のネットワーク構築と研究情報交換の重要な場です。特に若い会員がその重要性に気づかれ、学会を積極的に利用いただきたいと思います。研究委員会活動、研究会、シンポジウムなど、企業技術者・大学・研究所の研究者との情報交換の場を積極的に提供することは、学会を支えていただいている会員・賛助会員の皆様に役立つ学会の重要な役目と思いますので、できるだけ広くその開催を公表し参加者の勧誘に努めて参ります。 今後とも、会員の皆様に少しでも役立つよう学会活動の改善に努めて参りますので、ご要望やご意見をいただけますよう、会長としてお願い申し上げます。末筆になりますが、会員皆様のいっそうのご発展を祈念申し上げます。

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